住宅ローンを組もうと考えたとき、住宅ローンってどんなタイプの組み方があるのかわからなくて、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
選んだ住宅ローンによって総支払額が変わったり、途中で月々の返済額が変わったり。ややこしいから全員におすすめの住宅ローンを1個に絞って、他の住宅ローンはやめにしてくれればいいのに。
でも、そういうわけにはいきません。その人の収入の状況や今後の将来設計が家庭ごとに違う以上は、その家庭ごとにおすすめの住宅ローンも変わってきます。
この記事では住宅ローンの金利のタイプについて、どんなメリットやデメリットがあるのかという内容や、金利のタイプごとにどんな人におすすめなのかという「住宅ローンの金利の選び方」についてご説明します。
住宅ローンの金利のタイプ
住宅ローンの金利のタイプには、大きく分けて2種類のタイプがあり、1つは「固定金利タイプ」、もう1つは「変動金利タイプ」というカテゴリーになります。
固定金利タイプは「全期間固定金利型」という1種類です。変動金利タイプのカテゴリーはさらに2つの種類に別れ、「固定金利期間選択型」と、「変動金利型」に分かれます。
固定金利タイプ「全期間固定金利型」の特徴
全期間固定金利型は金利の変動がないことが最大の特徴です。住宅ローンは何十年という長い期間をかけて返済していくものなので、金利の変動によってトータルの支払額が大きく変わってしまうことがあります。
全期間固定金利型で住宅ローンを組んでおくと、経済状況の変化などによる金利の変動の影響を受けずに、住宅ローンの支払いが終わるまで固定された一定の金額を支払う形になります。
全期間固定金利型のメリット
全期間固定金利型は金利が一定なので、「返済額が決まっている」ことが大きなメリットです。
毎月、そして毎年同じ額の支払いがあるということが確定しているので、家庭の収入からローンの返済額を差し引いた額が今後の生活費という計算が立てやすくなります。食費が4万円で光熱費や保険を支払って、たまには外食もして、ローンも払って、残りは将来の貯蓄に回して・・・。そんな計画が立てやすい住宅ローンが全期間固定金利型です。
金利が変動したらどうしようという不安な気持ちにもならずに済むので、安心して住宅ローンが組めるところもメリットです。
全期間固定金利のデメリット
全期間固定金利は「初期金利が高い」というデメリットがあります。
例えば変動金利を選んだ時の金利が0.7%という住宅ローンがあったとして、全期間固定金利を選んだ場合は金利が1.4%になるといった形です。
※ここでの金利は例えばの数字です。実際の金利は住宅ローンを組む銀行ごとに確認しましょう。
金利が上がる時は「固定だから金利が変わらない」というメリットになりますが、金利が下がることがあれば、「固定だから金利を変えられない」というデメリットになります。
メリット・デメリット、両方をきちんと押さえていきたいですね。
全期間固定金利はこんな人におすすめ
全期間固定金利は「安定した金額のローン返済で安心したい」人におすすめの住宅ローンです。住宅ローンを組む本人が安心したい、一定の返済額で人生設計を立てやすくしたいという場合ももちろんですが、両親を安心させるという意味でも全期間固定金利はおすすめです。
両親や祖父母世代の方は財政破綻を心配する年代の方もいます。そんな世代の方に変動金利で住宅ローンを組むという話しをすると「国がつぶれたらどうするの!?なんて恐ろしい!正気なの!?」と、本気で心配されるケースもあります。「変動金利を選ぶなんて、この子たち大丈夫?」と、その後も心配され続けるということにもつながりかねません。
自分達が安心したいということも大切ですが、両親や祖父母世代の方を安心させてあげたいという場合も全期間固定金利はおすすめです。
結果として「総支払額は、変動金利にくらべて相当大きな金額になる可能性がある」という点は見落としてはいけません。
変動金利タイプ「変動金利型」の特徴
変動金利型は、その名の通り「金利が変動する」タイプの住宅ローンです。現在(2018年6月時点)ではかなり金利が低く設定されており、住宅ローンを組むなら今がおすすめという話しを営業さんから聞くことも多いと思います。
今は金利が低い時期と言われていますが、今後金利が上がることがあれば、ローンの支払額が今よりも増えてしまう。それが変動金利型です。
変動金利型のメリット
変動金利型は「初期の金利が低い」というメリットがあります。固定金利で1.4%の金利だったと仮定して、変動金利であれば0.7%の金利で住宅ローンが組めるというイメージです。固定と比べて、およそ半分ほどの金利になりますね。
現在は金利が非常に低い時代と言われていますが、もしも今よりも金利が下がった場合は、返済額が少なくなるという可能性も秘めています。ただし、銀行などで話しを聞いても金利が上がった時の話しはあっても、金利が下がった時の話しを積極的にしてくれることは稀なので、現状よりも金利が下がることは期待しないほうが無難でしょう。
変動金利型のデメリット
変動金利型は金利が変動するので、「安定した将来設計が立てにくい」というデメリットがあります。金利が変動するということは、今まで毎月8万円の支払いだった住宅ローンが、9万円に上がる可能性が普通にあるということです。変動金利型は初期の金利が低いという特徴があるので、金利が上がるなんてことがある前にローンの支払いを済ませてしまうか、金利が上がる可能性も視野に入れて貯蓄をしておくなどの対策をしておくことをおすすめします。
変動金利型はこんな人におすすめ
変動金利型は「金利が低い間にローンを払い終われる」という計画を立てている人におすすめの住宅ローンです。変動金利型は初期金利が低いので、金利が低い状態で支払いが終われば総支払額を少なくすることができます。
近々昇給予定の方や、来年から共働きになって収入が一気に増える予定という場合など、予定よりも早く返済できる見込みがはっきりしているケースでは変動金利型の住宅ローンがおすすめです。
変動金利タイプ「固定金利期間選択型」の簡単な特徴
固定金利期間選択型は金利を固定する期間を選択することができる住宅ローンです。35年ローンを組んだ場合、10年間は固定金利にしておいて、残りの25年間は変動金利にするといった形です。
固定金利期間選択型のメリット
「固定金利タイプのメリットと変動金利タイプのメリット」を併せ持った住宅ローンです。10年間は収入が増える予定がないから固定にして安心を手に入れて、固定期間が終了するころには昇給していたり共働きになっているという予定があれば、金利が変動したとしても支払うことができるという計画が立てられます。
全期間固定金利型よりも初期の金利が低いことが多いので、数年間は金利を固定したいけど、その固定する金利を少しでも低く設定したいというケースで重宝します。
固定金利期間選択型のデメリット
固定金利期間選択型には「固定金利の期間が過ぎてしまえば金利が変動する」というデメリットがあります。将来的に住宅ローンの返済総額が増えるかもしれないというデメリットです。
金利の変動がない場合は問題ないですが、金利が上昇した際は月々の返済額が上昇してしまいます。金利の変動がなかった場合も固定金利の期間の設定金利と、変動金利になった時の設定金利がそもそも違うというケースもあるので、基本的な金利が仮に今のまま変動しなかった場合でも、固定金利から変動金利に変わったタイミングで月々の返済額がどのくらい変わるのかは契約前にしっかり確認しておきましょう。
固定金利期間選択型はこんな人におすすめ
固定金利期間選択型は「数年後に収入が増える見込みがある」ときにおすすめの住宅ローンです。今はお子さんが小さくて、ほとんど旦那さん一人だけの収入。生活に余裕はないけれど、子供との思い出が積み重なっていく我が家は欲しい。
数年後には共働きになって夫婦そろってローンの返済ができる。だからあと数年だけは金利を固定したい。そんな数年後には収入が増えることが決まっているケースでは固定金利期間選択型で住宅ローンを組むのもおすすめです。
☆おまけのお話し☆
あるところに変動金利型で住宅ローンを組みたい夫婦がいました。その夫婦は実家のお父さんから住宅の購入資金の一部を援助してもらうことになっていました。しかしお父さんからは「固定金利でなければ金は出さん!」と言われてしまいました。
困った夫婦は銀行員さんに相談しました。すると「固定金利期間選択型」のお話しをしてみては?と提案されました。夫婦は銀行員さんから「固定金利期間選択型」の説明を聞き、お父さんにその話をしてみました。するとお父さんは「それなら安心できる」と納得してくれました。
「固定金利期間選択型」という選択肢を手に入れた夫婦は、全期間固定金利型よりも低い初期金利で住宅ローンを組むことができ、お父さんにも納得してもらったうえで住宅ローンを組むことができました。めでたしめでたし。
まとめ
住宅ローンには「全期間固定金利型」と「固定金利期間選択型」、そして「変動金利型」があることがわかりました。
安心を手に入れるなら「全期間固定金利型」。初期金利を低くしたい場合は「変動金利型」。その中間に位置するのが「固定金利期間選択型」でしたね。
ローンを組むのはあなたです。でも、ローンの返済に協力してくれるのはあなたの傍にいる大切な人です。万が一返済が滞ってしまうというピンチの時に手を貸してくれるのは、文句を言ってくれたあの人たちです。
住宅ローンはあなただけで組むものではありません。周りの人に感謝しながら最適な住宅ローンを選びましょう。